都市伝説番外:デスクリムゾン

 デスクリムゾンというゲームをご存知でしょうか。

 セガサターンで発売された、ガンコンというコントローラーを用いるソフトウェアのことです。

 今回の都市伝説は、このデスクリムゾンが「クソゲーの帝王」と呼ばれることについての、都市伝説です。


 さて、これは実はまったくの事実で、都市伝説ではありません。

 ただ、あまりにその仕様が伝説級だったために、「ネタじゃない?」と嘘なんじゃないか、という見方が広まったことから、都市伝説化してしまったようです。

 では何故こんな自体を招いたか? というのは、件のゲーム、デスクリムゾンの仕様が、飛び抜けて「ひどかった」からに他なりません。

(もちろん、このひどかったというのは、色んな意味ですごい)

 少しばかり、以下にそのとんでも仕様を列挙してみると、

 ・ 会社のロゴマークがとにかく怖い。(精神汚染とも呼ばれる)ゲームオーバーになる度に出てくる上に、やっぱり怖い。しかも飛ばせない。
 
 ・ ダメージを受けたとき、通常のアクションゲームであればダメージ時間が存在するが、このゲームにはそれがないため、一気にゲージが0になる。

 ・ 主人公のコードネームはコンバット越前で、本名も越前。好物は焼きビーフン。

 ・「せっかくだから赤い扉を選ぶぜ!」といいながら、赤くない扉にいき、しかも何故何がせっかくだからなのかまったくの不明。

 などなど……。

 全部書くのは非常に労力を使うので、興味がある方は http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/46.html を参照してください。 

 とにかく、このゲームは伝説級の実在するゲームであることは間違いありません。

都市伝説:赤いマフラー・青いマフラー・紫のマフラー

 ある小学校に、いつも赤いマフラーを着けている女の子が転校してきた。

 女の子も男の子も、あまり愛想のない赤いマフラーの女の子に、最初こそ興味をもったものの、次第に遠巻きにするようになった。

 疑問に思ったクラスの男の子の一人が、「なんでいつもマフラーを着けてるの?」

 と聞いた。

 それまで無愛想だった女の子は男の子の方を向いて、

「中学生になったら、教えてあげる」

 と答えた。

 
 男の子と女の子は同じ中学になった。

 しばらく経ったある日、「中学生にもなったし、なんでマフラーを着けてるのか、教えてくれよ」

 と尋ねた。

 女の子は「私と同じ高校にいったら教えてあげる」と答えるだけだった。

 
 高校でも、再び二人は同じ学校になった。

「何で赤いマフラーを着けているのか、そろそろ教えてくれよ」
 
 男の子の問いかけに、

「私と同じ大学にいったら教えてあげる」
  
 と微笑むだけだった。


 二人は同じ大学の同じ学科に進んだ。

 その頃には、二人は恋人同士になっていた。

 それから同じ会社に就職し、結婚もした。


 結婚してしばらく経ったある日のことだ。

 男は妻となった赤いマフラーの女に、

「ところでさ、おまえって、なんでいつもマフラーしてるんだ?」

 と聞いた。

「そうね。わかった、そろそろ教えてあげる」

 そういうと、彼女は今まで決して外さなかった赤いマフラーを首から外した。

 ごとっごろん

 彼女の首が、床に落ちて転げた。

 彼女の首は、昔から赤いマフラーで繋がっていたのだ。


 その家では、赤いマフラーをした女性と青いマフラーを着けた男性が、仲むつまじく暮らしているという。

 最近では、紫のマフラーをつけた子どもが生まれたようだ。



 これが都市伝説、赤いマフラーです。

 一番最後は本来存在しないのですが、ごく最近に広まっているこの都市伝説の余談です。

 この女の正体は飛頭蛮だったという説もあります.

 そうしたさまざまな解釈をあてはめていくのは、この都市伝説の楽しみ方のひとつでしょう。

 よくわからないけどとにかく怖い、しかもちょっと切ない都市伝説の典型だと思います。

都市伝説:フェイス

 仲間同士でのツーリングの途中、一人の男がハンドル操作をあやまった。
 
 曲がりきれず、走る勢いそのままに転倒して、頭からガードレールに激突した。

 ものすごい勢いで激突したので、仲間は大慌てで男の下へと駆け寄った。

「いてえ。ま、大丈夫大丈夫」

 男はおどけたような仕草でムクリと起き上がった。

 そして、陽気に仲間に手を振った。


 仲間たちは、男の無事に安堵した。

 これといって大きな怪我もないようだ。

「おいおい、しっかりしろよ。バイクの方は大丈夫かー?」などと、冗談交じりに、仲間は男をからかった。

「わりわり。ちょっとハンドル操作ミスっちった。ちょっと頭痛いくらい」

 ずるっ

 男がフルフェイスのヘルメットを脱いだ瞬間仲間たちから悲鳴が上がった。

 ヘルメットをとった瞬間、男の頭部はぐにゃりと崩れ落ち、遅れて、男の身体もその場に崩れ落ちた。

 さっきの事故の衝撃で、男の頭部はぐちゃぐちゃになっており、ヘルメットのおかげでなんとか形を保っていたのだった。 



 これが都市伝説、完全防備のフルフェイスです。

よく、兜は完璧だったけれど、衝撃で脳震盪を引き起こした、という話がありますが、もっとバイオレンスになったバージョンがこれでしょう。

 人間の身体の形というのは、確かなようでいて、非常に不安定なものです。

 激しい衝撃で弾け飛ぶ分子結合のように、衝撃を受ければ細胞同士も引きはがれてしまいます。

 そういう意味では、まさしく、衝撃の伝わり方そのものが、衝撃的といえるでしょう。

  

都市伝説:友達だよな

 男2人、女2人の大学生四人が飲み会をしていた。

 4人とも高校時代から友達同士で、話題に事欠くことはなかった。

 話している内にだんだん盛り上がってきて、肝試しに行こうという話になった。

 車で来たため飲んでいなかった男が車を運転することになり、幽霊が出るというトンネルに向かった。

 トンネルの周りには歴史を感じさせるように、ツタが無数に生えていた。

 
 一同は車を降り、携帯電話で写真などを撮ってトンネルを散策した後、車へと戻った。

 しかし、全員が乗り込んだというのに、なかなか車は発進しない。


 運転席以外の三人は、「どうして出さないんだよー」「早く早く」など、からかい半分の文句の言い放題。

 普段は反撃する運転席の彼だったが、なぜか黙ったまま、かすかに震えている。

 そして、ゆっくり口を開いた。

「なあ……」

「え?」

「なあ……俺たちさ……友達だよな……」

 急に変なことを言い出すものだと三人は思ったが、特に気に留めず、当たり前じゃん! 友達だよ友達! と答えた。

「じゃあさ、俺の足元を見てくれないか……?」


 三人が彼の足元を覗き込むと、……の底から生えた二本の白い手が、彼の足をがっしりとつかんでいた。


 三人は、悲鳴を上げながら車を飛び出して逃げた。友達を見捨てて。

 落ち着きを出して取り戻した三人が車へ戻ってみると、彼の姿はなかった。

 
 どこに行ったのか探してみようと車の周りを探していると、ひとりが悲鳴を上げた。

 そこには全身ツタに絡まった彼の姿があった。


 これが都市伝説「友達だよな」です。

 この都市伝説の一番難しいところは、よりによって車を運転している彼だけが「酔っていない状態」にあるというところですね。

 ツタはアルコールを嫌うのでしょうか? とまあ、もっともらしい疑問は置いておきまして。


 この都市伝説も、有名であるとともに、類型の多い都市伝説でもあります。

 ある程度、著名である都市伝説というのは、口伝えあるいは広まる過程で類型が増えていくものです。

 ツタでないパターンも存在し、悪鬼のような形相で車の窓に顔を押し付けて倒れていた、というパターンもありますし、全員が閉じ込められるというパターンもあるようです。

 また、逆に白い手だと思っていたのが単なるツタだった、というトンネル環境の恐ろしさの方に主眼を置いた都市伝説というのもあります。


 特に幽霊ものの都市伝説は、微細な部分がいくらでも変わりやすいですね 
 

 

都市伝説:青い石のネックレス

 ある日、Bさんは大学生の彼氏にプレゼントされたという青白い石のネックレスをAさんに見せてくれた。

 その石は何の石かは判らないが、きらきらと輝いていて、とてもきれいであるように、Aさんにも見えた。

 Bさんはその後彼氏とは別れてしまった。
 
 しかし、Bさんは自分の好きだった彼は私に贈ってくれたものだから、とネックレスを大切に身に着けていた。


 何日かして、Bさんが学校に来なくなった。

 心配したAさんがお見舞いに行くと、Bさんは「金属アレルギーになっちゃって」と語った。

 首元を見ると、ネックレスを着けている周りは赤くかぶれていて、所々皮膚がはがれているところもある。

 学校にはそのうち来れるようになるだろう、とAさんは思っていた。

 しかし、Bさんはそれから、学校には来なくなってしまった。

 
 一ヶ月が過ぎたが、相変わらずBさんは学校に来ていない。

 入院したとの噂もあり、AさんもBさんのことを心配していた。

 その内、、Bさんからうちに来てほしいというメールがあり、Aさんはお見舞いに向かった。
 
 そこには変わり果てたBさんの姿があった。

 がりがりに痩せ細った身体。ほとんど抜け落ちた髪。皮膚の色も、どす黒く変色してしまっている。
 
 そのあまりの変わりように、Aさんは驚きを隠せない。

 立ち竦むAさんに、Bさんは「これを受け取って」と震える手でネックレスを渡した。  


 それから一ヶ月ほどたったある日、Bさんからうちに来てほしいというメールがあり、Aさんはお見舞いに向かった。

 そこには変わり果てたBさんの姿があった。

 がりがりになった体。ほとんど抜け落ちた髪。皮膚もどす黒く変色している。

 驚いているAさんにBさんは「これを受け取って」と震える手でネックレスを渡した。

「もう私はいらないから」



 Bさんは、その三日後に亡くなった。

 ネックレスを託されたAさんは、ネックレスに不吉なもの感じ、知り合いの経営している宝石店にその宝石を預けて鑑定してもらうことにした。
 
 Aさんは、翌日の早朝、宝石店のおばさんからの電話で叩き起こされることになる。

「こんなもの、どこで手に入れたの! この青白い石は、ウランの結晶よ!」

 そう、Bさんは被爆して死んでしまったのだ。



 これが都市伝説、青い石のネックレスです。

 話の過程を追う限りでは、ありがちな呪われたネックレスと思いきや、ある意味もっと恐ろしい代物だった、というのが都市伝説です。

 実際に、ウラン採掘場の近くで捨てられていた青い石を拾って被爆したという事件も起こっています。

 また、宝石の真贋の鑑定に、放射線を用いることがあるのも、この都市伝説が広まった一因でしょう。

(宝石によっては、放射線をあてることで、色を変化させるものもあるのです)

 もっとも、そうした場合、放射線の残留量は厳密に計測されているので、問題はないのですが、放射線残留のパターンの都市伝説もあるようです。

都市伝説:ちょっと待て

 三人の大学生が、肝試しのために近所でも有名な心霊スポット「○○病院」にやってきた。

 ○○病院は、潰れてから随分経つ廃院で、荒れ放題になっていて、誰も近寄らない病院だった。


 そのうちの一人が、ビデオカメラをもって、証拠映像として探索の記録を録った。

 そして、他の二人はテレビのレポーターのように、マイクを持つ振りをしながら、のりのりで廃屋へ入っていった。

「どうも、○○です。おじゃまします」

「あまり人の出入りはないようですね。そこら中、埃だらけです」


 探索の途中、レポーター役のひとりが、落ちていた古いカルテと見られる紙を拾った。

 紙は黄ばみ、すっかり劣化して、ぼろぼろになっていた。

「もう帰ろうか」「そうだな」

 廃墟の様相を呈している病院は撮れたものの、期待していた心霊現象はなかった。

 拍子抜けした三人は、戦利品代わりにカルテを持って病院を出た。


「どうも、カルテありがとうございました。おじゃましました」



 帰った三人は、さっそく部屋でさきほど録ったビデオを上映することにした。

 病院の前で、マイクを構えているひとりが映し出された。

 くだらない冗談を言い合いながら、病院の玄関をくぐる。

「どうも、○○です。おじゃまします」

「いらっしゃい」

見ていた三人は、凍りついた。女性の声が入り込んでいた。

「あまり人の出入りはないようですね。そこら中、埃だらけです」

「散らかっていて、申し訳ありません」

「もう帰ろうか」「そうだな」

「何のお構いもせず、すいません」

「どうも、カルテありがとうございました。おじゃましました」
「ちょっと待て」

 低く、どすの聞いた声が、部屋に響きわたった。

 三人は互いに顔を見合わせ、がたがたと震えた。

 再生を終えたテープが、自動的に巻き戻される。傍らの電話が、突然鳴った。

 三人の内の一人が、恐る恐る、受話器をとった。

「こんにちは。○○病院です。大事なカルテですので、こちらまでお戻しください。それとも、おうかがいした方がよろしいでしょうか」



 これが都市伝説、「ちょっと待て」です。

 いくつかバリエーションがあるようで、この病院のタイプのものは比較的新しいもののようです。

 古いバージョンだと、廃病院ではなく、単なる廃墟のものが主流です。

 私個人の思い出ですが、小学校の修学旅行のとき、友達にこの話をされたのを覚えています。

 この都市伝説も、実際に話しながらの方が怖く感じる都市伝説のひとつですね。

 特に、最後のちょっとまてのところで声を低くし、それまでは優しそうに丁寧に話すと、より効果的でしょう。

都市伝説:ストーカー

 ある女性がストーカーの被害に悩まされていた。

 家の前に変な男が立ち、ぼうと見上げていた、などという話を近所の人から聞くと、身が凍る思いがした。

 気味は悪かったが、特に実害はなかったので、そのまま放置していた。

 すると、どこからかぎつけたのか、無言電話がかかるようになった。

「もしもし?」

「…………」

「もしもし? どなたですか?」

「…………」

 くぐもったような息の音だけがしばらく続き、ぷつんと切れる。


 こんな無言電話が、一日に何回も、朝となく夜となく続くようになった。

 我慢の限界に達した彼女は、いつものようにかかってきた無言電話に、

「いい加減にしなさい! この変態ストーカー! 卑劣で最っ低ないくじなし!」

 すると、今までくぐもった息の音だけだった受話器から、

「ころしてやる」

 という言葉だけが返され、電話は切れた。

 
 彼女は、その男の反応に身の危険覚えたため、警察に相談することにした。

 彼女の事情を聞いてくれたのは、運良く人の好い女性警官だったため、親身になって相談になってくれた。

 そして、今度電話がかかってきたときは、逆探知を行って、相手の居場所がわかってから、彼女の携帯電話にかけるので、なるべくストーカーとの電話を切らないようにといわれた。


 そして、その夜、電話がかかってきた。

 しかし、相手の様子がいつもとは異なっていた。

「もしもし?」

「ふふふ……」

「もしもし?」

「ふふ……くくくくく……」

 ストーカーの男は無言ではなかった。

 ストーカーの男は、低くくぐもった声で、電話口で静かに笑っているのだった。

 不気味な笑いに恐ろしくなった彼女は電話を切ろうとしたが、逆探知のことを思い出し、生理的な嫌悪感に耐えながら、ひたすら男の笑い声を聞いていた。

 すると、彼女の携帯電話が鳴った。

 警察からだ。

逆探知の結果が出ました。今すぐ、今すぐ外に出てください! 犯人はあなたの家にいるんですよ!」

 彼女は、反射的に受話器をたたきつけると、その場に立ち竦んだ。

 男の笑い声は、まだ、消えていなかった……。


 これが都市伝説、「ストーカー」です。

 近いものでは「電気をつけなくてよかったな」や、「ベットの下の斧男」などがあります。

 例が少ないということもあるのでしょうが、意外と女性版のストーカーの都市伝説というのは存在しないんですよね。

 それこそカシマさんというストーカーが登場しても、おかしくない世の中になってきているような気もします。

 その場合、落ちも少し女性らしい怖さが付加されたものになるのかもしれません。