都市伝説:トイレの花子さん

 1980年代に小学生の間で噂され、その後爆発的なブームを呼んだ、学校に伝わる怪談です。

 噂の細部は地域によって異なりますが、その多くは、学校のトイレのある特定のドアを三度ノックし、「花子さん」と呼びかけると、誰も入っていないにもかかわらず、中から返事が返ってくる、というものです。

 花子さんはオカッパ頭の赤い服を着た小学生くらいの女の子で、一部ではトイレで殺されたあるいは自殺した女の子の霊だといわれています。
 また、地域によっては花子さんを呼び出す方法が違ったり、あるいはその後に花子さんが襲われたりするというパターンも存在するようですが、元々は単純に返事が聞こえるというものであったようです。
 
 トイレとは孤立した閉鎖空間であり、心理的に不安を呼び起こすため、古来より様々な怪異が現れる場所であった。
 残念ながら花子さんの噂は、その後、マスコミなどに取り上げられ、映像化されたことにより、それ以上は膨らむことなく、急速にその勢いを失ってしまうこととなりました。
 明確な姿や形を与えられることで、むしろ恐怖感が薄らぐことの典型的な事例といえるでしょう。

 こういった知識はある意味では特権的で、だからこそ、広まる要素も高いのだと考えます。
 メジャーになりすぎると、バリエーションが生まれる怪談ではなく、単なるひとつの話に落ち着いてしまうのでしょう。