都市伝説:医療ミス
右の肺にガンの見つかった50代の男性が、執刀医の誤りで健康な左の肺を切り取られてしまった。
原因は、医師がレントゲン写真を表裏逆さまに見ていたからだ。
この患者はしばらく入院していたが、やがて亡くなってしまった。
遺族には膨大な慰謝料が支払われたという。
このような医療ミスに関する都市伝説は、昔から存在するものです。
最近の傾向としては、大病院の名を盛り込み、流布するケースが増えています。
実際にミスの発覚した病院の別の医療ミスとして採用されることが多いようです。
とある高齢入院患者が、点滴を打たれて間もなく苦しみ出した。
ナースコールで駆けつけた数人の女性看護師の中に師長がいた。
彼女は点滴のラベルを見るや青ざめ、すぐさま針を外し、「これ、どこかにしまっちゃって」と若い女性看護師に指示したという。
その後、老人には別の点滴が打たれたものの、翌日、亡くなってしまった。
師長は家族の人たちがやってきたとき、「かなりのご高齢でしたからね……」空々しい口調で話していたらしい。
この種の医療に関する都市伝説が絶えないのは、昨今報道されている医師不足と看護師の労働環境の劣悪化にあるともいえるのではないでしょうか。
全国には、医師が極度に不足している地域や、放漫経営によって破綻する病院の話が多くあります。
また、一方には歯科医が飽和状態にあり、厳しい競争のあまり、拝金主義な営業形態をとっているケースもみられるようです。
生命を扱う分野にもかかわらず、このような社会不安を煽るような事態にあって、医療にかんする都市伝説が形成される環境要因は充分に完成しているといえるのではないでしょうか。