都市伝説:人食いバクテリア

「○○国産バナナに壊死性筋膜炎という症状を起こす、人食いバクテリア菌が付着しているものがあり、これを食し感染すると、手足が壊死を起こして死亡してしまいます。

 ○○国産のバナナを食べ、発熱、皮膚の炎症という症状が出た場合はすぐに病院に行き、万が一近くに病院がない場合は、感染を遅らせる為皮膚を焼かなければなりません。

 この事実はパニックを恐れる余り隠蔽されているが、被害を食い止めるためにもこのメールを少しでも多くの人に回してください。

 あなたのメールが、多くの命を救うのです」

 以上のような旨のメールが出回ったことがあります。
 もちろんこれは事実無根であり、悪質な悪戯でした。


 しかし、現実に人食いバクテリアと呼ばれる菌は存在します。

 人間に感染すると、数時間から数日のうちに発症し、手足に壊死を引き起こし死に至らしめる恐ろしいバクテリア菌。
 それらを俗に人食いバクテリアと呼びます。

 現在、人食いバクテリアと呼ばれている菌は二種類ある。
「ビブリオ・バルニフィカス」と「A群連鎖球菌」である。

『ビブリオ・バルニフィカス』は食中毒などの要因ともなる『腸炎ビブリオ菌』の類縁菌で、特に暖かい海に生息し、傷口から、あるいは菌に感染した魚介類を生のまま食すことにより、人間に感染します。

 とはいえ、健康な人間であればそうそう感染することはありません

 ビブリオ・バルニフィカス菌が感染するのは主に肝臓に疾患のある人間です。

 肝臓に何らかの疾患を有する人間がひとたびこの菌に感染すると菌は爆発的に繁殖し、24時間以内に手足は壊死を起こし、命を落としてしまうことも少なくありません。


『A群連鎖球菌』は人を主な宿主とする菌で、口からの飛沫などを通じて、主に喉や皮膚などで感染すると言われています。

 この球菌は様々な病気を引き起こすが、最も一般的なのが、小児の咽頭炎、または扁桃炎やリウマチ熱などです。

 これだけを見れば、さほど心配をすることもない球菌ですが、このA群連鎖球菌は何らかの原因で劇症型に変異し、恐ろしい症状を引き起こすことがあるのです。

 初期症状は風邪に酷似していますが、こちらもやはり短時間で手足の壊死などを起こし感染者を死にいたらしめます。

 特に妊婦や腎臓疾患、糖尿病の患者などは死亡の確率が高いといわれています。


 いずれの菌も、発症から死亡までの時間が短い為、原因の早期発見と早期治療が必要です。

 ちなみに、こうした菌がバナナなどの植物を媒介として感染することは、もちろんありません。