SNSと都市伝説についての比較考察2

前回は、ツイッターの話をしましたが、今回は主にFacebookについてのバイラル効果を考えたいと思います。


 ツイッターが文字制限のある匿名性のSNSであるのに比べ、Facebookは実名制が原則のSNSです。

 ツイッターが「友達の友達」というシステムを簡単に生み出せるのに比べると、Facebookでは、そうそう上手くいくことではありません。

 実名である分、確実にFacebook外のコミュニティが必要になり、無責任な噂を流せることの障壁となっているからです。

 つまるところ、友達に流したとしても、そのまた友達にはその情報が流れない、というのは多々あることなのです。

 そういう意味では、Facebookの方が実は現実よりも都市伝説を伝播させにくい状況が整っているといえます。

 なぜなら、その引き起こしたバイラル効果の元をたどることが可逆的に可能であるからです。

 「……さんが生み出した噂」だと都市伝説にはならないわけです。
 

 掲示板やツイッターでは簡単ですが、Facebookでは都市伝説を作為的に生むことは非常に難しくなります。


 もっとも、それが「なんとなく知っているような情報」だった場合、話は別になります。

 「なんとなく知っている情報」は、バイラル効果で多くの内に回される内、恣意的に情報を足し引きされます。

 設定を加えられたり、けされたりして、都市伝説の情報として精選されていくわけですね。

 そして再び、「なんとなく知っている情報」が発した人の元にかえってくる頃には、全く違う都市伝説として生まれ変わっている可能性があるのです。

 ですから、発信者本人も、自分が出したなんとなくの情報の成れの果て、とも露と思うことはありません。

 何故なら、「なんとなく誰かから聞いた」「友達の友達から聞いた」情報に他ならず、その時点でその発信者は、情報の仲介者になるわけです。

 そういう意味では、Facebookは、都市伝説を流すことには不向きですが、育てる土壌としては、最適であるのかもしれないですね。


 都市伝説は、人から人へと伝わる過程で生み出されていく、といっても過言ではありません。

 むしろ、多くの人を辿ることで、口伝えの噂話が「都市伝説」という形を得ることが可能となるのです。