都市伝説:コインロッカーベイビーズ
ある女性は、自分が妊娠したことを知った。しかしそれは不本意なものだった。
中絶をできる時期は過ぎていた上、相手が誰だかはっきり判らない。
もちろん、子どもがほしいとも彼女は思っていなかった。
悩んだ挙句、生まれた子どもを駅のコインロッカーに放置してしまった。
それから5年ほど、さすがにばつが悪く、自分が罪を犯したコインロッカーの近くへは近づかなかった。
しかしある日、彼女は忘れるともなく、そのコインロッカーの付近を通っていた。
ふと、見ると、コインロッカーの近くで、小さな男の子が泣いていた。
どうやら親とはぐれて迷子にでもなったようで、その男の子はひとりで、誰も近づく様子はない。
なんだかかわいそうだと感じた彼女は、子どもに声をかけた。
「ねえ、僕、どうしたの?」
しかし、男の子は答えない。
「ねえ、大丈夫? 怪我しているの?」
それでも男の子は泣き続けるだけで、答えは返ってこない。
「ねえ、お母さんはどこかな」
「おまえだ!」
これが都市伝説、コインロッカーベイビーです。
このコインロッカーベイビーにはさまざまな亜種があり、ものすごい矮躯の大人に話しかけられるようなパターンもあれば、目の見えない小人に話しかけられるパターンもあります。
コインロッカーという小さな閉鎖空間ですが、だからこそ、無限に想像を膨らますことが可能なのでしょう。
どうやって生き延びたかなどは語られることがない方が、むしろ恐怖が増すというのが、この都市伝説の特色といえます。