都市伝説:さめない酔い

 ある男性会社員が、帰り際、仕事仲間との飲み会に参加した。

 その日はかねてからの大仕事だった商談がようやくまとまったため、彼も仕事仲間もみな上機嫌に祝杯を掲げた。

 しこたま飲んでしまった彼だが、家はそれほど遠くなく、大丈夫だろう、と運転して帰ることにした。

 
 深夜の時間帯のため、人影はなく、通いなれた道ということもあり、彼はうとうとしてしまう。

 家までもう少しというところで、一瞬だけ眠ってしまった。

 一瞬、ひやりとしたが。すぐにハンドルを取って家に帰ることができた。


 次の日、彼は頭を痛ませながら目を覚ました。
 
 そして、仕事に出ようとガレージに向かった彼は信じられないものを見てしまう。

 それは、自分の屋根の上で死んでいる女の子だった。


 彼は自分の長い叫び声で目が覚め、飛び起きた。

 気づけば、ハンドルを握りしめている。

「夢だったのか……」冷や汗を拭った彼は、嫌な予感がして車を止めた。

 おそるおそる車の見上げると、自分の屋根の上には死んでいる女の子がいた。

 彼は叫び、その声に目が覚めて−−。


 これが都市伝説、さめない酔いです。

 元々は単に女の子の死体を見つけて終わるパターンだったのでしょうが、今回紹介したのは、悪夢と酔いとをさめないものとした派生パターンです。

 話自体は、自動車免許の更新の際にでもありそうな話ですが、屋根の上にずっといるというのは不気味です。

 また、ずっと引きずっていた、というパターンもありましたが、実際に事件が起こったためか、あまり聞かれなくなりました。

 大抵、その場合は上半身だけになっているパターンが多いようです。