都市伝説:カシマレイコ
あるときある踏切で、一人の女性が人身事故にあった。
その女性の名はカシマレイコといった。
電車に巻き込まれた彼女は一見して明らかに即死であると知れた。
それもそのはず、彼女の身体は電車に轢かれたため、もとの姿をとどめないほどにバラバラになっていたのだ。
警察によって彼女の身体の破片は拾い集められた。しかしどこを探しても彼女の左足だけは見つからなかったという。
そして、このカシマレイコの話を知った者のもとへ三日以内に片足を失ったカシマレイコの霊が訪れるといわれている。
そのとき、「カシマさん」という名前を三度唱えると、カシマさんは消えてしまう。しかし、名前を唱えなかった人間は、カシマさんに殺され、その片足をもぎ取られてしまうのだ。
これが、都市伝説『カシマレイコ』です。
カシマレイコの伝説は1970年代に全国各地に広まりました。
地方によっては「キジマさん」とも呼ばれ、また、「てけてけ」と呼ばれる場合もあります。
その死因、呪文なども異なってはいますが、基本は同じで、身体の一部を失った女性の幽霊が、話を聞いた者のもとに訪れるという内容に関してはほぼ共通しています。
また噂によっては、カシマさんの話を聞いたものは五人の人間にこの話を伝えないと、カシマさんがやってくるというものがあります。
これは、1970年代に流行った「不幸の手紙」のバリエーションであるといえるでしょう。
また、もともとの噂の内容も、既存の噂、あるいは当時の社会的なニュースなどの様々なモチーフをミックスしてできあがったものなのです。
「不幸の手紙」の属性を持ったことによって、カシマレイコの噂は全国に爆発的に広まったといえるでしょう。
そして、噂が伝わっていく過程で様々な噂のモチーフを得て、カシマレイコはその存在を変化させながらも、日本中に名を知らしめたのです。